無機系凝集材


無機質吸着粘性土

汚濁水等の凝集分離処理の殆どは、有機性高分子ポリマーが使用されています。高分子ポリマーは化学物質であるため、近年になり水域の生態系や食物連鎖等による環境負荷が指摘され始めました。

また、高分子ポリマーで凝集分離された上澄水は、時間の経過と共に白濁現象を起こすため、河川等水域の水質悪化原因の一つではないかと指摘され始めています。

高分子ポリマーは粘性が強く親水性であるため、水に親しみ易く溶解した化学物質は取り除く事が難しく、微量ながら上水中へ残留する可能性があり、それが体内に蓄積され健康に悪影響を与える危険性があります。

特定非営利活動法人 再生舎は、これらの問題を解決する為に東京工業大学 有冨研究室の指導の下に無機質吸着粘性土を開発する事ができました。

無機質吸着粘性土は、汚濁水中の有害物質や化学物質を動植物微粉炭及び微粉灰に吸着させ±の粘性無機材を組み合わせ開発しました。

無機材の組み合わせは汚濁水の性状により変え分離効果を高める事が出来ました。無機材の組み合わせは、5~数10種類を組み合わせて作られています。

吸着凝集材

今回、開発された吸着凝集材は、東京工業大学有冨研究室とNPO法人再生舎の技術指導に基づき、NPO法人再生舎の特別賛助会員が開発しました。

吸着凝集剤の開発目的は、発展途上国内で生活水として利用されている汚濁水を浄化させ安全な生活水の利用を目的として開発されました。

開発時に、有冨教授からの指摘指導により、発展途上国内で格安に入手出来る材料で開発する事、廃棄されてきた自然界の物などを利用する事を絶対条件とされ開発を行ってきました。

今回の吸着凝集材の主原料は動植物系の残渣物を炭化させた微粉炭化物と灰化物、+-無機材を利用し開発した粘性土粉体物です。

吸着凝集の最大の目的は、微粉炭化物により有害な重金属物質や化学物質を吸着させ、微粉末の無機材により作られた核により凝集し水と分離させ安全性の高い水を得る事を目的としています。

また、開発された吸着凝集材の種類は、現在40種類を越え、様々な汚濁水に対して効率良く反応を示していますが、現在も研究中です。

開発された吸着凝集材の主な特徴は、汚濁水中の浮遊物質や水素イオン濃度等によって対応した吸着凝集材を使用する事で沈殿効果や中性化が得られ、凝集物質が再び溶解する事を防ぐ効果があります。

また、通常行われている高分子ポリマー等の凝集分離された澄水は時間の経過により白濁する事がありますが、開発された吸着凝集材で分離された澄水は時間の経過による白濁現象は、殆ど見られないことが実験の結果明らかになっています。

※ 濁水濃度と濁水中の分子が極めて微細な水と結合している濁水を凝集分離させる為には、凝集材の添加量を増やさなければ反応ができない事があります。また、効率良く凝集分離を起こす為には比較的強い乱流攪拌を行って下さい。

凝集テストとその結果

2009年6月17日

様々な濁水に対してそれぞれに合わせた凝集材を使用し、反応液を濾過した。


1.河川

凝集テスト河川水原水:埼玉・S河川
凝集材:No.12改07

原水500mlに対し凝集材を0.3g投入し十分に撹拌した後、細孔径10μmのろ布を用いてろ過した。


2.泥水

凝集テスト泥水原水:泥水
凝集材:No.23

原水500mlに対し凝集材を0.3g投入し十分に撹拌した後、細孔径10μmのろ布を用いてろ過した。



3.アスファルト濁水

凝集テストアスファルト濁水原水:アスファルト舗装版を切断した際の濁水
凝集材:No.26

原水500mlに対し凝集材を0.3g投入し十分に撹拌した後、細孔径10μmのろ布を用いてろ過した。



4.コンクリート濁水

凝集テスト コンクリート濁水原水:コンクリートを切断した際の濁水
凝集材:No.25

原水500mlに対し凝集材を0.3g投入し十分に撹拌した後、細孔径10μmのろ布を用いてろ過した。



5.墨汁

凝集テスト墨汁原水:墨汁(濃度0.1span)
凝集材:No.22

原水500mlに対し凝集材を1.0g投入し十分に撹拌した後、細孔径10μmのろ布を用いてろ過した。複数回に分けて凝集材を投入する方が濾過水はきれいになった。



6.水性塗料、および水性絵の具

凝集テスト墨汁水性塗料および絵の具原水 :水性塗料(濃度1span>)
凝集材:No.22

原水500mlに対し凝集材を1.2g投入し十分に撹拌した後、細孔径10μmのろ布を用いてろ過した。複数回に分けて凝集材を投入する方がろ過水はきれいになった。


小中学校の排水の提案

生徒数の多い小中学校では、絵画用具(主に水性絵の具筆やパレット)や書道用具を学校内での洗浄を禁止し、各家庭に持ち帰り洗うように指導されています。

これは、下水道法等から 洗浄水が日量の排水基準を超えるため、学校内での洗浄が禁止されていると考えられます。 このような現状では、環境への負担は全く変わりません。

そこで、私達は、自然界から発生する無機物を利用した吸着凝集材を開発し、これらの汚水を 浄化して排水または再利用することを呼びかけています。

絵の具洗浄水の再利用

絵の具洗浄水再利用イメージ

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